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最近の税務争訟 18
¥5,610通常価格:¥6600
- 出版社
- 大蔵財務協会
- 判型
- A5判 / 1104ページ
- ISBNコード
- 978-4-7547-2999-8
- 発刊日
- 2022/4/5
最近の税務争訟 18
通常価格:¥6600
- 著者
- 佐藤 孝一 著
概要
最近の税務争訟シリーズの最新版。長年国税内部で税務訴訟に携わってきた著者の経験に基づき、注目すべき最近の判決及び裁決を選りすぐり、<争点><ポイント><判決要旨>の形式に基づいて裁断機関の法的着眼点を紹介した一冊。今版では、計64事例を収録。また、既刊の判例を「総目次」「判示事項等索引」として巻末に掲載しています。(注目事例)
・相続財産の一部の存在を認識しながら、それを申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例。
・重度認知症により事理弁識能力を欠く状況にあるが、後見開始の審判を受けていない者の還付金請求権の消滅時効と民法158条1項の類推適用の許否。
・介護型老人ホームの入居者死亡による契約終了を事由とする入居一時金の返還金(償却金を控除した残額)は相続財産であるとした事例。
主要目次
第1 通則関係
1 修正申告書の提出と効力
(1) 所得税の修正申告を行った者に納税申告を無効ならしめるような瑕疵があったとは認められないとした事例
(2) 税務職員の慫慂を受けてした修正申告に債務控除の錯誤があったとしても、客観的に明白であったとはいえないため、誤納金還付請求には理由がないとした事例
2 更正の請求
(3) 公正証書に基づいて肉用牛を取得したとして消費税等の確定申告を行うことが可能であったから、その取得時期を更正の請求に係る課税期間と認定して所得税更正処分を取り消した別件判決は、通則法23条2項1号の判決に該当しないとした事例
(4) 過払金返還請求権に係る破産債権が破産手続により確定した場合、当該過払金受領の日の属する事業年度の益金の額を減額する計算は「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(法人税法22条4項)に当たらないとした事例
3 更正と適正手続
(5) 医療法人社団の調査において収集した資料等を検討して、理事長の所得税に係る更正処分を行ったことは「調査」に基づくものであるとした事例(有価証券の帰属)
(6) 更正通知書に更正後の総所得金額ではなく、繰越損失控除前の金額を記載した更正の適否(措置法25条2項所定の「当該年分の総所得金額」の意義)
4 過少申告加算税
(7) 被相続人宅周辺に支店又は本店を有する金融機関に照会をすることなく、預貯金等を申告しなかったことに「正当な理由」があるということはできないとした事例
(8) 申告前に評価会社の会計帳簿を閲覧できなかったことは株式の価額が0円であることを客観的に裏付ける事実ではないから、株式の価額を0円として申告したことに正当な理由があるということはできないとした事例
5 重加算税
(9) 従業員の隠蔽・仮装行為を納税者本人(請求人)の行為と同視することはできないとして、重加算税賦課決定を取り消した事例
(10) 検収書の施工完了日及び検収日の記載が故意に事実をわい曲したとは認められないとして、重加算税を取り消した事例
(11) 代表者と面識のある者に対する金員の交付及び振込送金並びにこれらの貸倒れに係る一連の経理処理が仮装に当たるとされた事例
(12) 土地の譲渡対価の一部を前受金勘定に計上し、残余を計上しなかったことは隠ぺい仮装(通則法68条1項1号、法人税法127条1項3号)に該当するとした事例
(13) 原告会社の関連法人に外注したとする業務に携わった労働者の給与手当等につき源泉徴収義務を認識しつつ、これを外注取引に仮装して源泉徴収を怠ったものであり、通則法68条3項に該当するとした事例
(14) 相続財産の一部の存在を認識しながら、それを申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例
(15) 当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして重加算税を取り消した事例
6 納税保証
(16) 納税保証書に確定金額で記載されていない延滞税についても、納税保証が及ぶとした事例
7 還付請求と消滅時効
(17) 重度認知症により事理弁識能力を欠く常況にあるが、後見開始の審判を受けていない者の還付金請求権の消滅時効と民法158条1項の類推適用の許否
8 税務行政と国家賠償等
(18) 修正申告の慫慂に際し、調査担当者に内容の説明義務違反があったことなどを理由とする国家賠償請求に理由がないとした事例
(19) 国税徴収官が過大な延滞税の額を通知したことは職務上の法的義務違反に当たるが、損害が発生した(相当因果関係がある)とは認められないとした事例
(20) コンサルティング料の益金算入、役員退職金の損金不算入、更正の理由附記の不備及び調査手続の違法を理由として、会社代表者が提起した国家賠償請求には理由がないとした事例
(21) 原価法で不動産の評価額を算定し、担保余剰価額のみでは被保全債権全額を保全するに至らないとして預金債権の仮差押申立てを行ったことに注意義務違反はないとした事例
第2 所得税関係
1 非課税所得
(22) 分譲団地の権利義務を承継した独立行政法人から支払を受けた建物瑕疵の解決金は損害賠償金に当たらず、一時所得に当たるとした事例
2 所得等の帰属者
(23) 1?の金地金10本の売却に係る収益の帰属者(取得費の存在の主張立証と不存在の事実上の推認)
3 所得区分
(24) 非常勤講師料、夜間授業担当手当等に係る所得は給与所得に該当するとした事例
(25) 勤務先から職務発明の対価として受け取った和解金は譲渡所得に該当せず、雑所得に該当するとした事例
4 収入金額
(26) 都民住宅の建設資金借入金の利子補給の打ち切りに当たり交付を受けた金員は、不動産所得の総収入金額に算入されるべきであるとした事例
(27) 財団の設立に際し、財団に寄付した非上場株式の「その時における価額」(所得税法59条1項1号)の認定(所得税基本通達59―6?が定める「同族株主」の判定時期の合理性)
(28) 法人に対する取引相場のない株式の譲渡に係る「その時における価額」(所得税法59条1項)を配当還元価額によって評価した原審の判断に違法があるとした事例
5 課税時期
(29) 株式報酬制度に基づいて付与を受けた、所定の転換日に米国法人の普通株式に転換される「ストック・ユニット」に係る経済的利益の権利確定時期は、所定の取引制限にかかわらず、その転換日であるとした事例
(30) 株式報酬制度に基づいて付与されたストック・ユニットに係る給与等の収入すべき日はストック・ユニット数に応じた株式の引渡日であり、その収入すべき金額を算定するに当たって採用すべき為替レートはTTMレートによるとした事例
6 必要経費
(31) 不動産管理会社に支払った修繕積立金及び設備の修繕費等を不動産所得の必要経費に算入できないとした事例(債務確定基準の適用)
(32) 従業員を被保険者、保険金及び給付金の受取人を納税者とする養老保険契約の保険料(積立部分を除いたもの)を必要経費に算入できないとした事例
(33) 賃貸土地の上に存する建物収去費用の法的負担者が賃借人であったとしても、求償不可能であるとして、不動産所得の必要経費に当たるとした事例
7 課税の特例
(34) 措置法33条の4第1項の特別控除の適用の有無(買取り等の申出日から6か月以内の新たな価格の提示と申出の失効)
(35) 特例の適用を特例対象事業者に対する売委託に限定する措置法37条の12の2(株式等の譲渡損失の繰越控除制度)の憲法13条、14条1項及び84条適合性
(36) 控訴人(原告)が譲渡した当該土地につき、被相続人は措置法37条1項の適用を受けていたと推認され、当該譲渡に係る譲渡所得の計算上、措置法37条の3第1項に基づき取得価額を計算することになるとした事例
8 所得控除
(37) 医師の指導に基づいて不妊治療の一環として購入したサプリメントの購入費用が医療費控除の対象にならないとした事例
9 源泉所得税
(38) 匿名組合契約に基づく利益の分配金の支払があったと認めることはできないとして源泉所得税の納税告知処分が取り消された事例(日愛租税条約の解釈適用)
第3 法人税関係
1 収益事業
(39) 特定非営利活動法人が行うホームレス等に対する建物の貸付業が収益事業(不動産貸付業)に該当するとした事例
2 収益等の帰属
(40) 従業員名義口座の普通預金債権が同人に帰属することをもって同口座の利用に伴う所得も従業員に帰属することにはならず、同所得は原告会社に帰属するとした事例
3 益金の額
(41) 証券取引所の終値よりも約10%低額で株式を相対取引で譲渡し又は譲り受けた場合につき、低額譲渡(寄付金)又は低額譲り受け(受贈益)に当たるとした事例
4 損金の額
(42) 係争事業年度前の事業年度に受けた役務提供に係る外注費を前期損益修正として損金の額に算入することはできないとした事例(東京地裁平成25年10月30日判決との整合性)
(43) 支給した役員給与の一部が事前確定届出の内容と異なっていた場合、その全額を損金の額に算入することはできないとした事例
5 減価償却
(44) 不動産の買主が売主に対して支払う固定資産税及び都市計画税の日割分は、不動産の「購入の代価」の一部であるとした事例
(45) 浸出水処理施設、自社給油所及び洗車場と減価償却の単位(株式の取得による完全子会社化と株式の適正な価額の算定)
6 タックスヘイブン対策税制
(46) 製品製造に必要な生産管理及び技術指導等の役務提供に係る対価の額に移転価格税制(措置法66条の4第1項)適用があり、支払を受けるべき額が確定する都度、その日の属する事業年度の益金の額に算入すべきであるとした事例
(47) 措置法(平成20年法律23号改正前)66条の6第1項にいう「課税対象留保金額」には同条項及び同法施行令(平成20年政令161号改正前)39条の14第1項にいう特定外国子会社等が有する国内源泉所得も含まれるとした事例
7 税額控除
(48) 中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除(措置法42条の6第2項)の適用はないとした事例
(49) 中国企業所得税額は係争事業年度後の事業年度において確定しているから、係争事業年度において外国税額控除をすることはできないとした事例
第4 贈与税・相続税関係
1 贈与税の課税財産
(50) 出資持分の低額譲渡を受けた会社の株主に対しても相続税法9条の適用があり、出資持分評価に当たり、評価通達に定める評価方式以外の評価方式によるべき特段の事情があるとした事例
2 相続税の課税財産
(51) 介護型老人ホームの入居者死亡による契約終了を事由とする入居一時金の返還金(償却金を控除した残額)は相続財産であるとした事例
3 財産評価
(52) 評価通達の定めによる集合住宅、各戸建住宅、土地及び借地権の評価の適否
(53) 評価対象地の価額から控除すべき土壌汚染浄化費用相当額は、相続人が実際に支払った金額ではなく、土壌汚染対策工事見積金額の80%であるとした事例
4 連帯納付義務
(54) 相続税の連帯納付義務者はその納税告知がされるまでの期間についての延滞税を負担するとした事例
5 納税の猶予
(55) 相続税の納税猶予の期限を到来させる農地転用の事実が認められるとした事例
6 更正の請求(特例)
(56) 相続税法30条による期限後申告と更正の請求の期限(審査請求人又は原処分庁が審査請求書又は答弁書で主張していない事実を裁決の理由とすることの許否)
第5 徴収関係
1 物的納税責任
(57) 滞納会社が第三債務者に送付した「債権譲渡登記通知書」と題する文書をもって、確定日付のある証書による通知がされたとみることはできないとした事例
2 差押・取立
(58) 滞納者に徴収法153条1項2号の事由があることをもって、滞納者の所有不動産を差し押さえたことが違法であるということはできないとした事例
(59) 譲渡禁止特約に反した工事請負代金債権の譲渡が、同債権について差押え等を行っている国に対する関係においては無効であるとされた事例
(60) 集合債権譲渡担保契約に係る「善意」(民法466条2項ただし書)の判断基準時は、その契約締結時であるとした事例
(61) 滞納会社が入会したフィットネスクラブに対する保証金返還請求権は、社名変更届出にかかわらず、滞納会社が有するとした事例(差押債権取立請求事件)
3 公売
(62) 公売の実施時期の判断が合理性を欠くとは認められず、公売処分は適法であるとした事例
(63) 公売不動産についての公売公告及び見積価額の公告の取消請求の適否及び当否(売却決定と公売公告の法的効果の帰趨、公売公告の取消判決の拘束力等)
第6 訴訟関係
1 行政処分の続行停止
(64) 現に居住する建物等に係る公売公告を受けた申立人について、「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」とはいえないとした事例