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リーガルマインドで読み解く重要税務判例20選

¥2,805通常価格:¥3300

出版社
大蔵財務協会
判型
A5判 / 500ページ
ISBNコード
978-4-7547-3256-1
発刊日
2024/8/27

リーガルマインドで読み解く重要税務判例20選

通常価格:¥3300

著者
木山 泰嗣 著

概要

本書は好評既刊『税務判例が読めるようになる』の改題拡充版です。基本的かつ重要な20の税務判例を「リーガルマインドで読み解く」ことを主眼とし、判例評釈や判例評論の集積である「判例集」とは異なる観点からケース・スタディをしていきます。第1部「基本編」では基本となる14の税務判例を扱い、法解釈や事実認定、あてはめ(法の適用)、先例の拘束力、判例の射程、税法解釈の方法、法律と通達の関係、判断基準など、法的三段論法を中心とした「リーガルマインド」で読み解くトレーニングができます。第2部「応用編」では少し高度に議論の進化してきた「近年の税務判例」を6つ取り上げ、第1部で身につけたリーガルマインドを前提に、深く読み解きます。

主要目次

第1部 基本編
第1章 武富士事件 租税回避vs租税法律主義
本章のキーワード:借用概念
概要/借用概念/生活の本拠と居住意思/法的三段論法/客観的に実体をみる/先例拘束力/あてはめ/法解釈と立法論/高裁判決の相違点/第1審判決で示された法解釈/補足意見にみる法解釈

第2章 生保年金二重課税事件 どのような二重課税が非課税になるのか?
本章のキーワード:判断枠組み
はじめに/概要/二重課税の防止規定/法的な二重課税/先例拘束力/事実認定について/同一の経済的価値/趣旨解釈/あてはめ/高裁判決における相違/地裁の判示/まとめ

第3章 ホステス源泉徴収事件 税法解釈のあり方とは?
本章のキーワード:文理解釈
概要/政令で定める金額/計算期間の日数/同種の事件/文理解釈/趣旨解釈/立法趣旨と最高裁判決/高裁と地裁の判示/結論の不当性/調査官解説による補足/文理解釈と立法趣旨/文理解釈が原則

第4章 遡及立法事件 税法規定が違憲になる場合はあるのか?
本章のキーワード:最高法規
概要/最高裁判決の前提/「そもそも遡及立法ではない」/最高裁のロジック/「趣旨」に反するかどうか/最高裁の結論/高裁の判示/地裁の判示/刑事事件における遡及立法禁止,事後法の禁止と租税法/遡及立法禁止の原則と違憲判断/違憲判決

第5章 破産管財人源泉徴収事件 憲法に沿う解釈とは何か?
本章のキーワード:先例拘束力
概要/「支払をする者」/先例拘束力と「特に密接な関係」/2つ目の論点/地裁・高裁の判断/先例拘束力の"変化球"

第6章 岩瀬事件 私法上の法律関係はどこまで重視されるのか?
本章のキーワード:私法契約と契約自由の原則
概要/民法上の契約の効力/税負担の軽減を図る目的/「契約自由の原則」と公法の適用/税法と私法/通謀虚偽表示の無効/地裁判決の問題点/実務における注意点

第7章 外国税額控除事件 濫用目的によって税額控除制度の適用は否定される?
本章のキーワード:税法の解釈
概要/形式的な要件充足と趣旨解釈/権利濫用の禁止と「著しい逸脱」/来料加工事件/最高裁判決の特殊性/限定解釈の許容性/課税減免規定と政策的判断/あてはめ/調査官解説の説明

第8章 損害賠償請求権益金算入事件 不法行為の被害者であることが権利の確定に影響を与えるか?
本章のキーワード:判例の射程
概要/権利確定主義/同時両建て/不正の主体/判例の射程/先例との整合性の問題/例外と高裁のロジック/あてはめ/判断枠組み/地裁のロジック/ジレンマと射程外

第9章 売上原価事件 同じ条項の他の号との比較が解釈に影響する?
本章のキーワード:反対解釈
概要/条文を読むということ/費用収益対応の原則/債務確定主義/反対解釈/通達における「債務確定基準」/地裁の判断/高裁の判断/最高裁の判断/2つの要素/債務確定基準との違い

第10章 ストック・オプション事件 判例の射程はどう読めばよいのか?
本章のキーワード:判例の射程
概要/ストック・オプションの課税問題/外国法人発行のストック・オプション/「年度帰属」の問題/所得区分の問題/使用者から受ける給付/雇用契約またはこれに類する原因/事例判決としての最高裁判決/最高裁昭和56年判決と「射程外」/同種事件における先例的価値/高裁・地裁の法的三段論法のプロセス/「あてはめ」における違い/まとめ

第11章 ストック・オプション加算税事件 どのような場合に「正当な理由」は認められるのか?
本章のキーワード:法的三段論法(規範とあてはめ)
概要/当局の見解/商法改正/正当な理由/規範の定立/あてはめ/補足説明/信義則の論点

第12章 りんご生産組合事件 所得区分の判断はどのように行うべきか?
本章のキーワード:形式論と実質論
概要/最高裁のあてはめ/高裁のアプローチ/地裁のあてはめ/まとめ

第13章 医学論文事件 課税要件をとらえて的確なあてはめを行うには?
本章のキーワード:課税要件
概要/高裁判示における課税要件/地裁判決の相違/まとめ

第14章 競馬事件 通達の示した解釈は常に正しいといえるのか?
本章のキーワード:租税法律主義と通達
概要/争点/最高裁の判断/高裁・地裁の示した理由/法律と通達の関係/大阪事件の結論/札幌事件/判例の射程/営利性の判断枠組み/スポーツ・ベット事件/大阪事件と札幌事件の違い/大阪事件と札幌事件の事実関係/2回に及んだ通達改正/横浜事件/競馬所得の所得区分の判断

第2部 応用編

第15章 養老保険事件 通達規定と税法規定はどちらが勝つのか?
本章のキーワード:借用概念
概要/政令と通達の定め/下級審が行った解釈/最高裁判決が行った解釈と分析/趣旨解釈としての側面/ホステス源泉徴収事件との比較/「支出した」の解釈/須藤裁判官の補足意見/納税者を勝訴させていた下級審判決/法源となるのは法律の規定─上位規範と下位規範の関係/「正当な理由」の有無/ストック・オプション加算税事件などの判決との比較/加算税を賦課すべきでない「正当な理由」が争われた最高裁判決/養老保険事件の最高裁判決の意義/東京地裁令和5年判決の登場/

第16章 48億債務免除源泉徴収事件 5つの裁判所で判断が分かれた事例がある?
本章のキーワード:判断枠組み,判例の射程
概要/債務免除/納税告知処分の根拠/訴訟の結果/第1審の判断/控訴審の判断/上告審の判断─最高裁平成27年判決/給与所得該当性のあてはめ/給与所得の判断枠組み/最高裁昭和56年判決との違い/給与等の支払についての源泉徴収義務/理事長の資産と負債についての事実認定/債務免除時の理事長の資産と負債/納税告知処分の原因行為の錯誤/最高裁平成30年判決の判断枠組み/ポイント?─錯誤主張の時期的な制限/ポイント?─錯誤主張の前提としての経済的成果の喪失/違法判断の時期/最高裁判決の先例部分/通達の適用と平等原則

第17章 タキゲン事件 通達規定は文理解釈がされるべきなのか?
本章のキーワード:法解釈と通達
概要/低額譲渡とみなし譲渡/通達の規定の定め/少数株主にあたるかどうかの議決権割合/譲渡所得課税の趣旨─清算課税説/主張の分岐点/タキゲン事件における当事者の主張/最高裁の判断/養老保険事件との関係/タキゲン事件の第1審判決/タキゲン事件の控訴審判決/下級審の判断の分岐点/下級審の判断/事実認定における通達規定の参照/タキゲン事件で再び最高裁の判断がされた意味/2つの補足意見/差戻審の判断/時価とは?/時価評価と税務行政/

第18章 クラヴィス事件 公正処理基準と手続規定の解釈とは?
本章のキーワード:公正処理基準,手続要件の解釈(救済解釈の法理)
概要/違法所得の扱い/民法703条/所得税法の定め/法人税法の場合─前期損益修正/破産会社と継続企業の原則/過年度遡及処理をした場合/クラヴィス事件の結論/大阪高裁のアプローチ/更正の請求の規定─1項と2項の関係/更正の請求の手続要件─23条1項1号該当性/配当されたものに限られるのか?/破産手続で行われた配当の額/確定した破産債権としての過払金返還債権の額/経済的成果喪失論/所得の経済的把握/経済的成果の喪失の範囲/最高裁昭和49年判決の射程/救済解釈の法理/公正処理基準の該当性判断─法人税法独自説/最高裁平成5年判決と最高裁平成6年判決/クラヴィス事件の最高裁令和2年判決の意義

第19章 節税マンション事件 評価通達の定める時価は常に正しいのか?
本章のキーワード:租税法律主義と通達,平等原則と通達
概要/財産評価基本通達6/相続税法22条の定め/相続税法22条と評価通達/特別事情論/控訴審の特別事情論/「特別の事情」のあてはめ/最高裁令和4年判決の判断/租税回避の否認/一般原則としての平等原則/最高裁令和4年判決の事情法理/節税マンション事件の事実関係/「事情」のあてはめ/判例の射程

第20章 みずほ銀行事件 政令の定めが委任の範囲を逸脱する場合がある?
本章のキーワード:借用概念
概要/請求権勘案保有株式等割合/課税庁の見解/問題の状況/納税者の主張/本質的な問題/第1審の判断/控訴審の判断/外国子会社合算税制と趣旨解釈/本件の場合/上告審の考え方/政令違法の判断/適用違法の判断/最高裁令和3年判決との比較/最高裁令和5年判決の問題点/憲法84条/草野裁判官の補足意見/最高裁令和5年判決の射程

用語索引
最高裁判決・事件名対照索引

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